7年目冬

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7年目冬

「あ…」 ふと、我に返る。 俺の足元では頭を抱えて怯えるクロ。 良かった、大きな怪我はしてないようだ。 本当に良かった。 吐露したい気持ちも言葉に出来ないクロは再びナイフを手に持っていた。俺も必死で焦るあまりナイフを奪い返すなり強く叱りつけてしまった。こんなに感情が高ぶったのは久しぶりだ…。膝をついて、小さく震える肩をそっと両手で包む。 「ごめんよ、ごめんよクロ…俺が悪かった。仕事の忙しさを理由にして全然構ってやれなかったもんな。」 クロの髪の毛は名付けた通り真っ黒で、ふわふわで、いい匂いがする。 「明日は休みだ、いっぱい遊ぼうな。」 しばらくして頷くクロ。機嫌も治ったようだ。いくつになっても純真無垢な子供のようで、可愛いなぁ。抱き止める温もりを感じて、愛しさが溢れるようだった。
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