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1年目夏
「暑いなぁ。」
夏は苦手だ。イライラする。
不満を呟くと独り暮らしの1K。
キッチンの水道水をタオルに浸し、よく絞ったものを男の子が持ってきてくれる。
「ありがとう。」
お礼を言ってそれを受け取る。
ヒヤリ冷たくて心地いい。
男の子は笑顔を浮かべた。
俺は彼に名前を与えた。
その方が何かと便利だったから。
「クロ、お勉強の続きをしようか。」
数字も数えられない、言葉も知らない少年を
自分一人で育ててると思うと達成感があるし
人のためになってる気分になれる。
勉強嫌いのクロは怯えた目をしてた。
可愛い奴だ。
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