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1年目冬
今日も不味い珈琲を音を立てて啜る。
珈琲は嫌いだ。
でもその方が大人っぽいから飲んでる。
マスターは上機嫌に鼻歌を歌ってる。
でも知らない歌だ。
「なぁマスター、聞きたいことがある。」
「微力な私で良ければなんなりと。」
執事のように畏まるマスターの笑みは変わらない。
「良い傷薬を知らないか?」
「おや、例の少年ですかな?」
「あぁ、青アザが中々消えないんだ。」
「それでしたら私の薬を分けてあげます。
使いかけて良ければ…ですが。」
「マスターも怪我をするんだ?」
「よくドジをするので要りようですよ。」
マスターの笑みは変わらない。
ありがたく薬は頂いた。
それでクロの怪我が良くなれば新品を買おう。
珈琲を飲み干して店を出た。
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