しあわせ

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 逃げるように教室を去り、階段を駆け下りる。 「あ、先輩。お疲れ様です。また、ですか?」  黒髪のいかにも運動部風な男子生徒が、靴箱前で僕に声をかけてくる。  彼の名は、黒崎真希。  僕の後輩だ。 「あぁ、うん。まただよ」  帰宅部の彼は、毎日どんなに遅くても必ず僕を待っていてくれる。 「今月は9回ですね」 「え、8回じゃないの?」 「いや、9回です。ラブレターもらってたじゃないですか」  そういえばそうだった。  実際に告白されたわけじゃなかったからすっかり忘れていた。 「よく覚えてたね」  マキは顔をそらし、「まぁ、たまたまです」とつぶやいた。
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