波乱

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 関係  たった二文字が、僕にのしかかる。  関係、関係……  マキなら、なんて答えるだろうか。  きっと、僕に配慮して、「ただの先輩、後輩の関係です」っていうだろう。  でも、僕が言っていいよ、っていったら。  マキは迷わず、「大事な恋人です」と言ってくれる。絶対。    じゃあ、僕は?  ここで、嘘をついたら、悠希に、マキに、奏さんに、自分の気持ちに嘘をつくってことじゃないのか?  そんなのは、嫌だ。 「悠希、あのさ、誰にも、言わないでくれる?」 「おうよ」 「あのね、僕とマキは……付き、合ってるんだ……」  消え入りそうな声で僕が言うと、悠希は一瞬驚いた顔をして、そのあと笑った。 「はは、やっぱり、そうか……。そう、だよなぁ……」  その乾いた笑いに、僕はドキドキした。引かれるんじゃないかって。 「やっぱり、って?」 「んー空さ、あの後輩といるとき、すげぇ嬉しそうなんだよ。だから、なんとなく普通の関係ではないなって」  なんてことないように悠希が言う。 「引いてない、の?」 「引かねぇよ。オレそういうの気にしねぇし」  悠希はにかっと笑った。  僕は嬉しくて、涙が出てきた。 「うぐぅ……ぐすっ……ありがと、悠希」  悠希は慌てて、僕にティッシュを差し出し、そして、ぎこちない手つきで頭を撫でてくれた。 「泣くなよ……」  悠希がぽつりとつぶやく。  何故だかそのつぶやきは、とても寂しそうに聞こえた。
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