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マキとともに、電車に揺られながら、僕はさっきの出来事を思い出す。
悠希に好きだと言われ、頬に軽くだけど、キスされた。
「先輩何考えてるんですか」
顔を熱くする僕に目ざとく目を付け、マキが聞いてくる。
「え、なんにも考えてないっ!」
「そうですか」
なんだかマキの機嫌が悪い。僕はちょっと寂しくなって、マキにもたれかかった。
「え、先輩、ここ電車……」
うろたえるマキの声が聞こえる。
「ん~いいじゃん、別に。仲がいいだけに見えるって。少しだけこうさせて?」
なんだか疲れた。でも不思議だ。マキと一緒にいると、マキに触れていると、疲れが取れて、幸せな気分になる。
明日から、マキと一緒に住めるなんて、考えただけで幸せすぎて死にそうだ。
「マキ、今日は僕ん家来ない?」
僕はマキにもたれかかり目をつむったまま聞いた。マキがぴくっと動いたのを感じた。
「このままですか?いいですよ」
マキは恐らく僕の意図に気が付いたはずだ。今マキの家には奏さんがいるが、僕の家には誰もいない。つまりはそういうことだ。
「じゃあ、ちょっと寝るから、着いたら起こして……」
マキの温もりを感じていたら眠くなってしまった。半分意識を手放しながら言うと、マキは僕の頭をなでながら言った。
「おやすみなさい、先輩」
そのまま僕は眠りについた、のだが。
勿体ないことしたぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!
絶対マキ、僕が見たことないほどかわいい顔してた!なんで見てから寝なかった僕!
なお、マキは僕の寝顔に見とれ、降りるタイミングを忘れたらしい。
かわいい。
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