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「本当にすみませんでした……!」
僕の家に着くと、マキは大声で謝った。多分、電車を乗り過ごしたことだろう。
「そんな謝んなくていいって。別に何か予定があったわけでもないし」
僕が笑うと、マキは申し訳そうな顔のまま、机の前に座った。僕はそこに、炒飯のお皿を置く。
「昨日作ったやつの残りだけど……」
僕が言うと、マキは嬉しそうに微笑んだ。
「先輩の作ったものなら何でもおいしいです」
自然にデレてくるマキにドキッとしながらも、僕は自分の分も持ってきて、マキの向かいに座る。
「いただきます」
同時に言って、食べ始める。マキと食べる食事は、会話は少ないけどすごく胸がいっぱいになる。
食べ終わって、食器を片付け、僕はブラックコーヒーを飲んでいたマキの後ろに行く。
「マキ」
呼びかけるとマキがこちらを向いた。僕はそのマキの口に、自分の口を付けた。
「んっ」
珍しくマキが小さく声を上げる。その声にぴくっと反応してしまう。
僕は必死でマキに吸いつく。マキのほうが上手だろうけど、マキはあえて僕に身を任せている。
「にがい……」
僕は口を離すと、呟いた。
「先輩、苦いの嫌いですよね」
熱い息を吐きながら、マキも呟く。
「驚きましたよ、先輩からって初めてじゃないですか?」
「そうかも。ねぇ、マキ……」
僕は羞恥をこらえ、マキの耳に口を近づけ、囁いた。
「してくれる……?」
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