波乱

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 マキは僕の言葉に即座に反応した。  優しく、激しくキスをしながらそっと僕をカーペットに押し倒す(ベッドなんてたいそうなものはない)。 「ん、はっ……むぅっ……ま、きすき……」  僕が言うと、マキは一瞬動きを止め、はぁぁぁっ、とため息をつきながら乗っかってきた。 「どうした、の……」 「やばい……無理。……先輩が可愛すぎて愛しすぎて、気が狂いそう……」  マキの絞り出すような声に、僕は己の状態も忘れ聞き入る。 「先輩、瀬戸先輩に告られましたよね?他にも色々。先輩はモテるし、俺だっていつも不安なんです。こんなに好きなのは俺だけなんじゃないかって……」  知らなかった。マキがそんなことを思っていたなんて。  余裕そうな顔をして、本当はそんな風に思っていたんだ……。 「だから、今先輩が好きって言ってくれて、すごく嬉しかったんです。先輩、絶対に、俺より先に死なないで。俺から離れないで……」  縋りつくように言うマキを、僕はぎゅっと抱きしめる。  キスをするよりも、ただ抱きしめたほうが人の温もり、愛を感じることを、奏さんが、そしてマキが教えてくれたから。 「マキ、大好き。ずっと好き。離れないよ。いなくならない。絶対にマキとずっとずっと一緒にいる。約束するから」  マキはしばらく、僕の腕の中で泣いていた。  僕はだんだん、眠くなってしまい、マキを抱きしめたまま眠ってしまった。
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