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なんということでしょう。
ななななんだこれは!!!
え、日本の家庭の食事?これ?
七面鳥のようなお肉に、ミネストローネ、シーザーサラダ、そこまではまだ理解できる。これだけなら、普通の一食分だ。
問題はその横。
海外映画のアフタヌーンティの時のようなものが用意されていて、さらにチョコレートの噴水があった。
「空くん甘いもの好きって言ってたから、甘いものを多めに用意したわ。こういうのって、雰囲気が大事でしょ?」
当然のことのように言う奏さんに、僕は呆然とする。マキもさして驚いた様子はない。
え、僕がおかしいの、これ?
「先輩?どうかしました?」
「んえ?いや……なんでもない」
まぁ、いいや。美味しそうだし。
ありがたくいただくとしよう。
「……先輩、なんかおかしくないですか」
朝から晩までという言葉通り、だらだらと雑談をしながらの食事で夕方になっていた。
マキが僕を覗き込んでくる。
「ん~?そぉ?なんか眠い……」
僕が答えると、マキはすぐに僕を抱き上げた。
「ふぇ?」
状況を理解できない僕を持ち上げたまま、マキは舌打ちをする。
「先輩に酒飲ませた?」
不機嫌そうにマキが奏さんに聞く。
ここまでキレてるマキ、ほぼ初めて見たなぁ……。
「飲ませてないわ。どうしちゃったのかしら?恋の病?……恋の病だってー!」
奏さんも顔を真っ赤にして、自分の発言に爆笑した。
僕の中で奏さんの上品なイメージが崩れ去る音がした……。
マキはため息をついて僕を部屋まで運ぶと、ベッドに僕を置いた。
「よくわかりませんけど、寝てた方がいいですよ……。おやすみなさい、先輩」
呆れつつも優しいマキの声に僕は安心感を覚え、うとうとしてくる。
首の後ろに、何か違和感を感じたような気がしたが、夢だったのかも知れない……。
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