しあわせ

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 マキの家は金持ちだ。    この家に来るたび、それを実感する。  デカい一軒家(3階建て)、なんと防音の地下室付きである。  さらに、マキの両親は音楽家で、世界各国を飛び回っている。  つまりはほぼ留守。  なんと素晴らしい。 「適当に座っててください」  マキの部屋(僕んちのリビングぐらいある)に通され、マキが、飲み物を用意してくれる。    マキはコーヒー。僕はココア。  お決まりのホットココアを飲みながら、ボーっとテレビを並んで眺める。  このテレビ、いつ見てもデカいし、画質がいいなぁ……。  そんなことを考えていた時だ。 「先輩……」  ふいに耳元で、マキの声がした。  刹那、唇がふさがれる。 「んっ……っは、んむっ……」  口の中にマキの舌が入ってくる。  吸いつかれ、離され、また吸いつかれ……。  マキの舌が、僕の上顎を撫でる。 「んっ、っぁ……」  快感が駆け巡り、ぞわりとして、目に涙が浮かんできた。  ゆっくりと舌が去っていく。  マキのスイッチはいつも急に入る。  この前も並んでゲームをしているときに急にスイッチが入った。 「せんぱい……甘い」 「ココア、だよ……」  お互い息をはずませながら、言い合う。 「すみません、ちょっと我慢できそうにないです」  申し訳なさそうに言うマキに、僕は笑った。 「……いいよ」
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