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「あぁ、そう……。真希、あなた、男が恋愛対象だったかしら?」
ようやく理解した、とでもいうようにマキの母親は何度も大きくうなずき、そして首を傾げた。
「いや、俺は別に男だから先輩を好きになったわけじゃないから、違うと思う」
「そうなの。挨拶が遅れてごめんなさい、私、真希の母の奏よ。空くんだったかしら。うちの子のこと、よろしくね」
にこやかにあいさつされ、僕は思わず、聞いてしまった。
「あの、気持ち悪くないんですか……?男同士とか……」
奏さんはきょとんとした後、笑い出した。
「それをあなたが言うの?面白い子ね。私は海外生活が長いから、あんまりそう言うの気にならないのよねー。何より、あなたは男女関係なく真希を好きになったのでしょう?」
「はい。僕はマキだから好きになったんです。マキが男でも、女でもマキが好きなんです」
自信を持って答えたが、結局同じことを繰り返して言ってるだけな気がする……。
こう言う時に気の利いた一言が言えないのが僕の悪いところだ。
「そう。ならいいわ。改めて真希のことよろしくね」
「はい」
うなずいて、マキを見る。
耳が真っ赤だった。
そこでようやく僕は気づく。
あ、僕凄い恥ずかしい事言っちゃった?!
遅れて来た羞恥に真っ赤になりながら、僕はマキを見た。
「先輩がそうやって言ってくれることあんまりないんですごく嬉しいです」
顔をそらして、耳を真っ赤にするマキを、僕は心から愛おしいと思った。
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