しあわせ

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「はい、イチャイチャするのはいいけど、その前にご飯にしましょ。空くん、泊っていくわよね?」  奏さんの声で可愛いマキに見とれていた僕は我に返る。 「え、泊る……?」  突然の申し出に目をぱちくりさせていると、奏さんは一人で勝手に決めてしまった。 「うん、それがいいわ。色々と話を聞きたいし。真希はお風呂!あ、あと空くんに服を貸してあげて。8時にリビング集合ね」  それだけ言うと、奏さんはさっさと出て行ってしまった。  ええっと……。  困り果てて、マキを見ると、気まずそうに謝られた。 「すみません、ああいう人なんです。昔から自由で……。家に連絡しなくて平気ですか?」  マキの口ぶりからするに、僕が泊まらないという選択肢はないらしい。 「うん、それは平気だけど……」  戸惑いつつ、うなずくと、マキはタンスから服をだした。 「これでいいですか、服。なるべく楽そうなのがいいですよね」  そういってマキは僕に服を差し出してくる。  黒の薄手のトレーナーに、ゆったりとした長ズボン。  ふわりとマキの香りがして、思わず僕はドキッとする。 「あああ、ありがとう。じゃあ、着替えるね……」  動揺を悟られないように慌ててうなずく。 「俺は風呂行ってきます」  そういってマキは部屋を出ようとする。が、 「あ」  小さくつぶやくと、ドアの前で踵を返し、僕の前まで戻ってくる。 「どうした……んむっ、んっ、んぁ……」  自然な動作で唇をふさがれ、声が漏れる。 「じゃ、行ってきます」  しばらくそうした後にマキはすたすたと部屋を去った。  あぁ、もう無理……。  マキが好きすぎてやばい……。
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