10人が本棚に入れています
本棚に追加
おとなしくマキに渡された服を着て、部屋から出る。
リビングに行くと(めちゃくちゃ広い)奏さんが料理を並べていた。
すげぇ……。めっちゃ高そう。
料理に対して高そうとか、違う気がするけど。
「すごいですね。美味しそう」
「ほとんど買ってきたものだけれどね、せっかくだからみんなで楽しく長ご飯しちゃいましょ」
奏さんは機嫌よく笑うと、僕を見て、少し言いずらそうに切り出した。
「こんなこと、真希には聞けないから聞くのだけれど……あなたたち、どこまで進んでいるの?」
僕は思わず奇声をあげそうになった。
どこまで、といいますと……?
顔を赤く染め、わたわたする僕を見て、奏さんはふふふと微笑んだ。
「そう、よかった、受け入れてくれてるのね。大変じゃない?」
「いや、そんな、マキはいつも優しくて……」
しまった、つい自然に認めてしまった。
「うそ、真希が?あの子、どっちかって言うと周りが見えないタイプだと思ってたんだけど……」
周りが見えない?
いや、そんなことはない。マキはいつも僕を第一に考えてくれている。
「そんなことないですけど……」
「そうなの。じゃあ、空くんのことを大事にしてるのね」
大事に、か。
うん。マキはずっと僕を大事にしてくれている。
いつもいつも、僕はマキにされてばかりだ。
僕だって、何か返してあげたいのに。
最初のコメントを投稿しよう!