しあわせ

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 おとなしくマキに渡された服を着て、部屋から出る。  リビングに行くと(めちゃくちゃ広い)奏さんが料理を並べていた。  すげぇ……。めっちゃ高そう。  料理に対して高そうとか、違う気がするけど。 「すごいですね。美味しそう」 「ほとんど買ってきたものだけれどね、せっかくだからみんなで楽しく長ご飯しちゃいましょ」  奏さんは機嫌よく笑うと、僕を見て、少し言いずらそうに切り出した。 「こんなこと、真希には聞けないから聞くのだけれど……あなたたち、どこまで進んでいるの?」  僕は思わず奇声をあげそうになった。  どこまで、といいますと……?  顔を赤く染め、わたわたする僕を見て、奏さんはふふふと微笑んだ。 「そう、よかった、受け入れてくれてるのね。大変じゃない?」 「いや、そんな、マキはいつも優しくて……」  しまった、つい自然に認めてしまった。 「うそ、真希が?あの子、どっちかって言うと周りが見えないタイプだと思ってたんだけど……」  周りが見えない?  いや、そんなことはない。マキはいつも僕を第一に考えてくれている。 「そんなことないですけど……」 「そうなの。じゃあ、空くんのことを大事にしてるのね」  大事に、か。  うん。マキはずっと僕を大事にしてくれている。  いつもいつも、僕はマキにされてばかりだ。  僕だって、何か返してあげたいのに。
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