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どうしよう。
それってすごく嬉しい。
美堂さんはふっと笑いを溢した。
「ですがまさか貴女の方から話しかけてくれる
とは思わなくて、驚きました。」
あの時のことを思い出す。
美堂さんは驚いた顔をしていたけど、あれは
そういうことだったんだ。
「そして、僕の想像以上に喜んだ貴女が可愛くて
その笑顔をもっと見たくなったんです。」
「か、可愛いって…」
「可愛いですよ。
尽くしたくなるくらいに。」
今、やっと美堂さんの下部になりたい宣言の
意味を知った。
確かにそれは、最上級の愛の告白かもしれない。
もうドキドキで苦しくなる。
可愛いなんて言われて、どうしたらいいか分からず
に居た私を囲うように美堂さんは手をついた。
いつかの壁ドン再び。
「さて、最後に確認ですが、先ほどの涙は
僕に都合のいい解釈をしていいんですよね?」
「それは…」
「貴女が僕のために流した涙だと。」
すっと、美堂さんの長い指が頬に触れる。
すっかり乾いていた涙の跡をなぞるような仕草は
どこか色っぽい。
息が詰まるほどの距離。
眼鏡の奥の瞳は視線を反らすことを許してくれ
ない。
降参とばかりにこくりと頷けば、美堂さんは
満足気に微笑んだ。
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