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改めて目の前の美堂さんを見つめる。
眉目秀麗、頭脳明晰、品行方正。
しかもお金持ち。
エリート中のエリート。
そんな文句のつけようがない人が、平凡な私を
好きだと言ってくれる。
それは何だか不思議な気分だけど、でもそれ以上に
恥ずかしくて嬉しい。
「貴女の下部になることはやめます。」
ふいに眼鏡を外した美堂さん。
会社の人達は知らない素顔が私を見つめてる。
密かに感じる優越感。
「その代わり、僕を貴女の恋人にしてもらえ
ますか?」
その言葉に思わず笑ってしまった。
初めからそういう風に言ってくれたら、誤解は
なかったのに。
でもあの時の私だったら、断っていただろう。
「はい。」
と、返事をしたらキリッとした目元が緩んだ。
ゆっくりと近づいてくるその綺麗な顔。
吸い寄せられるように私は目を閉じた。
───私のシモベになりたいと言った、ちょっと
変わった恋人からのキスは、とてもとても甘い
キスだった。
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