シモベになりたい男

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姫野理子(ひめの りこ)。24歳。 ごく普通の社会人の私。 対して私の前に居るこの人は───28歳にして 次期社長間違いなしと噂されるくらいのエリート 美堂紳一郎(みどう しんいちろう)さん。 眉目秀麗、頭脳明晰、品行方正と三拍子揃って いるような正に完璧とも言える人。 半年前に海外支社からやって来た、私の上司。 そんなすごい人に…何故私はこんなことを 言われているのだろう? 「…突然どうしたんですか?」 上司に対してじゃっかん失礼ではあるけど、だって 本当にそう思うのだから仕方ない。 ───突然過ぎる。 いつものようにランチタイムに入って、外に 出ようとした私を大事な話があるからと引き留めた美堂さん。 呼び出されたのは会議室。 何か大きなミスでも犯してしまったのかと 恐る恐る部屋に入った私が言われた言葉が冒頭の それだった。 どう考えたっておかしい。 「突然…そうですね。 確かにそうかもしれません。」 その瞬間ふっと表情を緩めた美堂さん。 眼鏡の奥のきりっとした瞳が私を映す。 思わずドキッとしてしまった。
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