191人が本棚に入れています
本棚に追加
心臓に悪いから止めて頂きたい。
その綺麗なお顔で見つめないでってば。
勝手に焦る私を他所に、美堂さんはこう続けた。
「ですが先日、貴女にタンブラーをあげた時に
突然目覚めてしまったのですから仕方ありま
せん。」
「えっ?」
───それは本当につい先日のこと。
書類の確認のため、美堂さんの元へ行った私の
目に飛び込んできたのは、デスクの上に置かれた
オシャレなタンブラー。
それは某コーヒーチェーン店のもので、ネットで
見て欲しいと思っていたけどなかなか手に入らない
ものだった。
何故なら海外限定のデザインだから。
普段は仕事以外のことで美堂さんに話しかける
なんてしたことがなかった私は、その時初めて
自分から話しかけた。
『あのっ…そのタンブラーってどこで
買ったんですか?』
そんな私の様子に、美堂さんは少し驚いたような
顔をしていたような気がする。
海外支社に居る時に買ったものだと答えて
くれた後、よほど私が物欲しそうにしていたのか
気を効かせて…
『まだ使っていないので、よかったらどうぞ。』
って、そのタンブラーをくれたんだ。
本当なら遠慮した方がいいんだろうけど
テンションがぐぐっと上がってしまった私は
勢いに任せてもらってしまった。
その時の私は会社なのにも関わらず、恥ずかしい
くらいはしゃいでいた気がして…
家に帰って冷静になって物凄く後悔したのに。
よりによってどうしてそれを蒸し返されなくちゃ
いけないんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!