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トンッと私を囲うように壁に手をついた美堂さん。
───これが流行りの壁ドン。
二人きりの会議室。
相手は超がつくくらいの美形。
本当だったらドキドキするシチュエーションの
はずなのに。
「あれから貴女に尽くすことをずっと想像して
いました。
ですがもう、想像だけでは満足できません。」
…誰かこの人を止めて下さい。
「どうか想像だけで勘弁して下さい。」
「…はぁ。」
必死に絞り出した私の答えを聞いて、美堂さんは
ため息をついた。
一応上司だし、あまり失礼な言い方をしては
いけないと、私なりに気を遣ったのに。
ため息をつきたいのはこっちだ。
その反応を見て、諦めてくれたかな?って
思ったけど…
「やはり下部ではなくて、下僕と言えばよかった
のでしょうか?」
なんて、見当違いなことを言い出したから
私はまた頭を抱えた。
「だったらまだ下部の方がいいです。」
「よかった。
貴女が来るまでどちらにしようか悩んでいたので。」
本来、悩むべきところはそこじゃないと思う。
もう何だかツッコミ所が多過ぎて、どこから
手をつけたらいいか分からない。
言葉を失った私に美堂さんはぐっと迫る。
「どうか僕を貴女の下部に…」
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