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距離を縮めてきた美堂さんの胸元を精一杯の
力でぐーっと押しやって、すぐにその場を離れた。
「お、お断りしますっ!」
それだけ言い捨てて、逃げるように会議室を
後にする。
もうキャパオーバーで頭がどうにかなりそうだ。
夢なら覚めて欲しい。
だけど残念ながら現実で…これからどうしたら
いいのかと、そんなことばかり考えていた。
だって相手は上司。
今日、この後だって同じ職場で仕事をするし
明日だって明後日だってそれは続く。
毎日のように顔を合わせるんだ。
私の下部になりたいと言ってきた人と。
だから私はいつものレストランで待たせていた
友人に助けを求めることにした───。
「ねぇ…僕を貴女の下部にして下さいって
言われたらどうする?」
それを聞いた友人は、とたんに眉間に皺を寄せて
前に乗り出してくる。
「はぁっ!?あんたまた変な男に言い寄られ
てるの?」
ランチタイムの騒がしい店内でも、その声は
よく響いた。
周りの視線が一斉にこちら向く。
だから慌てて声をおとすように促した。
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