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一杯だけで泥酔するほど酒に弱いわけではないので、私にと勧められたワインをちびちびと飲み進めながら、彼の言っていた私の作品への話を聞くことにした。しかし、彼はそこで急に態度を変えて、作品ではなく、私の私生活について質問を始めた。
「じゃあ、浅羽先生は今、彼氏などはいないということですね」
「お恥ずかしながら、今までに男性とつき合ったことはありません。笑ってしまいますよね。神永さんはモテますから、たくさんの女性とお付き合いがありそうで、少しうらやましいです。今も、アニソン歌手のREONAさんと同棲中だとか」
ほろ酔い気分で、彼からの問いに正直に答えてしまう。そんな私の答えにうっすらと悪い笑みを浮かべていることを私は知る由もなかった。
「今日はもう、遅いですけど、家はどちらですか?」
それからも、彼は私にたくさんの質問をして、それに対して私がバカ正直に答えていくということの繰り返しだった。おかげで、私のことはだいぶ彼に知られてしまった。話し込んでいるうちにだいぶ時間が過ぎてしまったようだ。彼から時間を告げられ、スマホで時刻を確認すると、確かに深夜に近い時間となっていた。さすがにそろそろ家に帰った方がいい。
「ええと、ここからそこまで遠くはないので、タクシーでも拾って帰ろうかと」
「では、私も途中までご一緒しましょう」
私の言葉に彼が答え、途中まで一緒にタクシーで帰ることになった。
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