おとぎ話

18/28
前へ
/177ページ
次へ
"働いてばかりじゃ体が休まらないので、今日はお休み。バタバタしてるとお肌にも悪いです。そんな時、お姫様が、遊びにやって来られました。前に王様と来られた可憐姫です" 「お久しぶりです。可憐ちゃん」 「会いたかったわ、羽菜ちゃん」 連絡を日に日に重ねているうちに2人は「ちゃん」で、呼び合うほど仲良くなっていた。 「私の部屋に来て」 「羽菜ちゃん、えっと飲み物、いえ、お飲み物は温かいもの冷たいもの、一式お持ちしましょうか?」 従業員たちは、羽菜だけだとタメ口なのだが、一緒にいるのが、可憐お嬢様なので、タメ口を敬語に話し直す。 「いいえ、そのかわり、ポットに入ったたっぷりのお湯と、頼んでおいた色々なお菓子をお出しして欲しいんです」 「畏まりました。少々お待ちくださいませ。すぐにご用意致しますね」 「部屋で待ってます。可憐ちゃん、こっちよ」 「いつも見てもすごいわねぇ、綾元邸って。お城みたい」 「でも、私の部屋は違うわよ、ここにある全部屋からしても狭い部類だもの。でも、正直、昔はもっと狭いところに住んでいたから、とっても広く感じるわ」 「羽菜ちゃんが満足なら良かった。是非お部屋を見せてもらいたいわ」 「勿論!」 案内すると、可愛らしくて素敵なお部屋だと褒められた。 もともと飾りっ気のないへやだったが、瑠璃が部屋に似合う小物類やベッドカバー、綺麗なカーテンを買ってきたのもあったからかもしれない。 少しおしゃべりした後、2人はお互い箱を取り出した。 中身は羽菜と可憐は自分たちが漬けたハチミツのアーモンドだ。 色々な花の種類が瓶に書かれてあり、アーモンドが沢山沈んでいた。 「まだこっちは漬けてまもないから、こっちをお勧めするわ」 「待って、お菓子に乗せるなら浅漬けの方がいいかもよ。あまったるいよりあっさりしたほうがいいでしょう」 「そうね!食べてみて考えましょう」
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加