おとぎ話

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漬け込んだアーモンドは美味しかった。 どれもこれも美味しくて、食べれば花の種類で、蜂蜜の味が変わるのも分かった。 「生クリームのケーキには、私はこの蜂蜜がいいな」 「あ、それ。私も思ってた!」 持ってきてもらったお湯と沢山のプチケーキの中の スポンジにただ生クリームが塗ってあるのを2つとる。 真っ白な正方形の上に茶色の楕円形を置いた。 とろりと流れる蜂蜜が綺麗だ。 「一緒に食べましょ!」 「ええ、せーの」 小さな正方形にかぶりついた。 しばらく2人は味を確かめるように食べると、互いを見て「うん!」と頷いた。 「すごいおいしい」 「この大きさだからいいよね」 「次は何にする、抹茶?それとも、チョコ?」 シェフが沢山作ってくれたので迷う。 シェフのおすすめは、苺ミルククリームらしい。 「わぁ、苺ミルククリームなんて、そのまま食べても美味しいよね。甘めの蜂蜜の方が良いかしら? それとも、すこしクセのある蜂蜜のなんかは?」 「うわ、迷う!両方たべてみましょうか」 「そうね、ケーキに、たっぷりと…」、 いきなりコンコンとノックがあった。 「ごきげんよう可憐さん、うちの子と遊んで頂いてありがとう」 そこへ、きたのは瑠璃だった。 「何をしているの?ケーキに蜂蜜を垂らしているのかしら?」 「は、はい!蜂蜜の花の香りでケーキの味が変わると美味しいかもと」 「これ、よろしい?」 「あ、勿論です」 可憐がさっき作った苺ミルククリームをフォークに刺して、食す。 「んー、美味しいわ!わたしはもう少しあっさりした蜂蜜の方がすきだけど、これはこれで美味しい」 「ナッツを漬け込んだ紅茶もいかがですか? 薄い陶器の綺麗なティーカップにナッツティーが注がれる。少し濃い色をしている。 「羽菜が入れてくれたお茶をのまない訳にはいかないわ。さぁ、どんなものかしら?」 少し口をつける。それからもう一度カップの紅茶を、飲む。 「ほんとね!蜂蜜の中にナッツの香ばしい香りが、くるわ」 「うれしいです!ね?」 「うん」 「このままお店にしてしまえばいいのよ」 瑠璃の声に2人は驚く。 「「えっ!?」」 「ナッツの蜂蜜漬けのカフェ。かわいくない?ケーキや、サブレにも、いけそうだし。そうね、初めはホテルのティーパーティーのイベントから始めるのよ。宣伝も派手にして。きっといけるわ。ホテルは、シャルロットサファイア。普段一般のお客様には敷居の高い所に、カフェを作ったら、怖いもの見たさにくるんじゃないかしら?」 2人は顔を見合わせた。 「「ありがとうございますっ!!」」
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