おとぎ話

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"王子様とお姫様は、次の年、豪華な結婚式を挙げました。 王女様はもっと早い時期を望んでいたので、やれやれやっとかという風に、日取りが決まった時に肩をため息と共に落としました。 お姫様はふんわりとした真っ白なドレスが似合って、とても可愛い花嫁さんだと可愛がられましたが、お姫様の一世を知ると、ヒソヒソと噂するお客様もいました。 しかし、その後の仕事の出来を聞くと、あまりに頑張っているので、黙るしかありませんでした。 お姫様がいないと、仕事がなりたたない場面も沢山あったからです。 なので、小声で噂する人間も減りましたが、披露宴でのお酒も入ってか、羽菜に直接嫌味も言うお客様もいました。 「羽菜さんだっけ?母子家庭家庭で育って、そのお母様も亡くされて、大変ご苦労なさったんだね。そんな家庭のお嬢さんが、どうやって泉李さんの恋心を手に入れたんだね?」 「泉李さんなら、こう言っちゃあなんだが、いい縁談もあったはずなのに、羽菜さんはすごいね」 姫は、苦笑いで返します。 その時、女王がお姫様とお客様の間に入りました。 黒の留袖を着ていても、美女のオーラがすごい女王様です。 「あら。皆様お集まりで、うちの可愛い花嫁をお褒めくださってるのかしら?」 その言葉でお客様達は苦笑いで黙ります。 「うちの花嫁は仕事でも立派にやってくれているけれど、そんな事関係なしに、とても可愛い私の娘なんですよ、どうぞお手柔らかに」 女王様がニコリと微笑むと、お客様はそそくさと退散しました。 「ありがとうございます。お母さん。少々困っていました」 お姫様が言うと、女王様は笑顔になります。 「本当の事よ。私の可愛い娘だもの。羽菜の人生にとやかく言われたくないし、今日はお祝いの席ですもの。何を考えていらっしゃるのかしらね」
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