巨大な水槽

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相変わらず綾元家の家族は仕事で忙しい。 ハネムーンから戻った泉李と羽菜も次の日から、お互いの仕事に戻った。 泉李のサポートをしつつ、自分の任された業務をするのは忙しいが、元々働き者の羽菜にとってはやりがいを感じていた。 毎日がとても幸せ。 ここに死んだお母さんがいてくれれば、もっと幸せだったかも… と寂しく思う事もあったけれど、瑠璃が「義理のお母さんではなくて、本当のお母さんのように思って、敬語も使わなくていいから、いつでも頼りなさい」と言ってくれているのもありがたく思っている。 孔明もそうだ。とても優しく接してくれる。 *** 新しく綾元グループのホテルが海外のリゾート地に建った。 家族全員でオープン記念に行った。 沢山の有名人や、テレビ関係者のカメラも入り、おお 広いエントランスに大きな水槽があり、そこに沢山の熱帯魚が泳いでいた。 記念パーティーが終了した静かになったエントランスで、羽菜は水槽をじっと眺めている。 「綺麗だな、魚」 後ろから泉李が声をかけてきた。 「あ、泉李」 そして、2人で水槽を眺める。 「うん、綺麗。仲良しそうだし。私たちの家族みたい。 お父さん、お母さんでしょ、それから私たち、綾元家を守ってくれる屋敷のみんなと、それから会社の人たち」 「そうだね。 …昔、僕は海に住む金魚だと思ってたけど、羽菜に出会ってそれから変わった。生きていけない場所じゃなかった。みんな、僕を守ってくれていたんだなって今になって思う」 羽菜は泉李を見上げて、ニコリと笑った。 「そうだよ。私たちは幸せだね」
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