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「沢山食べてね。気を遣わずに」
「あぁ、うん、ありがと……さっきは、ごめんね」
コーヒーをひと口飲んだ泉李が、羽菜を見た。
「ん?何で謝るんだ?」
「いや、さっきね、会ったばかりの時、キツい口調で話しちゃって…」
「あぁ、そんな謝らなくていいよ。こっちが、急に声をかけたから悪いんだ。しかも、結婚しようだなんて、言って、しまっ、て……」
言いながら泉李は恥ずかしさに声が小さくなった。
が、羽菜もまたその言葉に顔が赤くなる。
「あれは、忘れて欲しい。でも、理由があったんだよ、ホントに」
「理由?」
泉李は、テーブルにコーヒーカップを静かに置くと、改めて羽菜を見つめた。
思わず、羽菜もケーキのお皿とフォークをテーブルに置く。
「僕たちの曽祖父の話を君は知ってるかい?」
「曽祖父って…ひいおじいちゃん?ううん、何も知らないわ。お爺ちゃんのことも知らないもの」
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