自分

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「僕たちの曽祖父たちは、知り合いだったみたいでね。 とても仲が良かったらしくて、僕たちを結婚させる、という遺言を残していたんだ」 「え?ん?……ごめんね、よく分からない、おじいちゃん達が知り合いだった?」 泉李は、よく分からなくて当然、というように小さく首を縦に振る。 彼は携帯電話を取り出すと、右の人差し指で画面をスッ、スッと触り、動かし、羽菜の前に画面を差し出した。 羽菜はそれを覗き見る。 そこには長い半紙に達筆な文字で何か書かれている物が写っていた。 全部を携帯のカメラでは写しきれていない。 「これ、遺言状の一部なんだよ」 「そ、そうなの?」 結婚という文字だけが羽菜の頭の中で回り、遺言状はただの写真にしか見えない。 「ここ、見てくれる?」 彼は画面をスクロールした。 さっきの遺言状の写真が他の物と入れ替わる。
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