プロローグ

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 昼食を済ませ、駅前の広場から歩くこと40分。そろそろハイキングにも飽きてきた頃、小さな家が見えてきた。街の中心部からは外れていて周りに建物はなく、ただ1軒ポツンと建っている。  緩やかな傾斜地を登ってきて火照った体に、通り抜ける風が涼しい。  たどり着いた家の表札には、「ブレンメル」と書いてあった。間違いない。ここが目的の家だ。 「こんにちは。先日ご連絡した、エルデン新聞のエルラントです」  入り口にある呼び鈴を鳴らす。扉が開くと、杖をついた老人が出てきた。歳は80を超えている。背は曲がり、髪は真っ白に染まっていた。。 「テオドールさんですね。エルラントです」 「ああ。こんなところまでよく来たな」  案内されて入った家の中は、美しく整頓されていた。机の上に、何枚か写真が飾られていて、その横には戦闘機の模型がおいてある。1枚は、中年の男女が写った写真だ。背景からして、この近くで撮った写真だろう。 「奥さんですか?」 「そうだ。5年前に亡くなった」  一緒にお子さんが暮らしている雰囲気はない。テオドールさんは今、この家で一人暮らしをしているのだろう。
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