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目覚めは〇〇〇で
窓から差し込む光がいつもより眩しくて、小さく唸り声が溢れる。
今日の目覚めはいつになく怠いと感じた。
喉が渇いた。起きてお茶でも飲もう。確か冷蔵庫にお茶を冷やしていたはず。
ついでに何か口に入れてもう一眠りするか。
と、思うがなかなか瞼を開ける事ができない。
昨夜飲み過ぎたせいだな…。
忘年会で飲ませすぎだろう。潰れるまで飲ませるとかアルハラかよ。
そういえば、と同期の小嶋力の姿が頭に浮かぶ。
我社の王子様も上司や周りが勧める酒を断り切れずに飲んでたな。
大丈夫だっただろうか。
身体中がだる重く、腰にも痛みが走る。
筋肉痛になるような事したっけ…?と働かない頭で考えるが、これといって思い浮かばない。
まぁとりあえず起きてお茶飲もう。
何とか起きようと身じろぐと後ろからどろりと何かが垂れるのが分かった。
え?
驚き開いた瞳に映ったのは、自分の横で気持ちよさそうに寝ている裸の王子様、小嶋力の姿だった。
慌てて自身を見れば、自分も裸で腰が痛みうしろから垂れるなにか。
部屋を見回すとラブホテルのようで、脱ぎ散らかしたお互いの服と使用済みの………。
―――――つまりはそういう事。
さぁ――と青ざめる。
いたしてしまった……のか…?
寝起き最悪の中、あちこち痛む身体を無理矢理動かして急いで服を着て、荷物をひっつかむと一万円札をテーブルに置き、そこから逃げるようにして帰った。
何これ?!やばいって?!
小嶋はノンケだ。今はいないらしいが彼女がいたと聞いたことがある。
もしかして酔った俺が無理矢理襲った?!
うーんと唸り昨夜の事を思い出そうとするが上司に酒を飲まされまくったところまでしか記憶にない。
それから二人で………?
俺が慌てているのには訳があった。
ノンケの小嶋と酔った勢いでいたしてしまったというのは勿論だが、実は俺は小嶋の事が好きなのだ。
気持ちを伝えるつもりなんてなかった。ただ同期としてたまに飲みになんか行けたら、それだけで良かったんだ。
なのに記憶はないけどセックスしてしまうとか…俺のバカ…!!
これじゃあ今まで通りの関係でいられるはずがない。
どうしたらいいんだ。
飛び乗ったタクシーの中で俺は頭を抱え、盛大にため息をついた。
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