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――ほんとうに?
ヒナコの意地悪い笑みを見て思い出す。ずっと考えないようにしていた事実を。
わたしはいつも二番手で、一番にはなれなかった。
ヒナコ、ケント、リン。彼らの腰巾着で、引き立て役でしかなかった。みんなわたしを見てくれているようで、わたしの隣の人を見ていた。わたしは付属品でしかなかった。
どうして? わたしはなんでもできる「天才」のはず。努力しなくても暮らしていける、「あたり」の人生のはずなのに。
こんなのおかしいよ。
ヒナコが憐れむような、気遣うような視線をわたしに向けてくる。
そんな顔で、見ないで。
言いたかった。でも言えない。恥ずかしすぎて。わたしがヒナコのことを羨んでいるなんて、ぜったいに知られたくない。
こんなの、「わたし」じゃない。
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