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「最初話したときから思ってたけど、笹西は先生向いてるんじゃないかな。ハキハキ喋るし、基本的に笑顔だし。なんとなく教壇に立ってる姿がイメージできる」
青木が遠慮がちにわたしに視線を向けた。
「そうなんだ」
使う予定もないのになんとなく単位をそろえて取ってしまった紙切れのことを思い出す。中学高校の国語の教員免許。
「でもまあ、すこしは嫌いじゃなくなったよ」
「なんのこと?」
青木くんのこと。
なんて言ったら調子に乗ってウザくなるだろうから、ぜったいに言ってあげない。
「ま、今日くらいは飲みに連れてってあげるよ。青木くんのおごりね!」
「なんでだよ! 俺を慰めてくれよ!」
青木が笑いながら立ち上がる。
店を予約しようと、スマホを手に取る。右上にはWi-Fiのマーク。たぶん社内のやつだ。
青海波。未来永劫の幸せを願う吉祥文様。
わたしは画面を拭くふりをして、右上をそっと親指の腹でなぞった。
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