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(二つ一緒に楽しむか)  認めたくないが小川真司はすごい男だ。想像もしていなかった未来を、いとも簡単に導き出してのける。 「頑張れ、大西大和。勇気を誰かに与える前に、勇気を出して見せてや」  真司の言葉に大和の胸の奥がうずく。 「……もしも楽しいと思えたら、またやってみてもいいかもな」  大和が応えると、真司は「そっか」と言って頷いた。 「――じゃ、またな。今度、一緒にラーメン食べに行こうや」 「おう!」  少し前までは考えられないほどに快活な返事をして大和は軽く手をあげる。真司は手を振り返し、野球部の仲間の元へ去っていった。  彼を見送り、大和も調理室へ戻ろうと踵を返す。 「大和先輩! 探したっすよ」  調理室に戻る道すがら、廊下の向こうから駆けてきたのは細田だった。ずっと大和を探し回っていたのか、額に汗をかいている。 「細田、どうした?」  大和が尋ねると同時に、彼の背後から学ランの生徒が顔をのぞかせた。 「俺、正田博樹って言います。さっきの大食い大会見ました! なぜか感動して、どうしてもラーメン同好会に入れてもらいたくて!」  細田と同じ一年生の男子生徒が大和の眼前に迫りくる。興奮した面持ちで詰め寄られ、大和は思わずのけぞった。 (今、ラーメン同好会に入りたいって言ったか?)  キラキラとした目をした男子生徒を大和はまじまじと見やる。  色白で背は細田よりも高いがひょろっとした細身の体型だ。  どこか昔の真司に少し似ている。 「大食いで感動した? 代わったやつだな。……まあいいか、どうせ変わり者とひねくれものしかいないしな」
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