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「なんだか今宵の地球は綺麗に見える」
空を見上げてコンタは言った。
コハルがとても喜んでくれたのでコンタは満足していた。
「コハルは今日のような地球を何と表現をする?」
コハルも見上げて一生懸命に考えている様子であった。
しばらくして、妹は自信満々に答えた。
「『私とあなたは大切な家族だよ』…っていうのはどう?」
「ほお」
コンタは考えた。
空に浮かんでいる地球には月とは比べ物にならないほどの人間が暮らしている。その分、家族の数も多い。
あの星はそのような絆で満ち溢れた生命そのものであった。だから、こんなにも綺麗に見えるのであろう。
地球の輝きは家族の絆みたいに優しく温かい。
「いい表現じゃないか。僕は気に入ったよ。…って、おい! もう目の前に家があるんだから、そこで寝るなよ」
いつの間にか、コハルは橋の欄干に背を任せて寝ようとしていた。
今日はとても疲れたのであろう。その上、緊張からの弛みで睡魔が一挙に襲った。
「やれやれ、こりゃもう無理そうだな」
仕方がないのでコンタはコハルを背負って運んであげた。
そして、妹は兄の背中で心地よい揺れによって深い眠りに落ちたのであった。
《完》
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