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月の物や風習はコンタからみれば何もかも古くてダサかった。
もし、自分が大人になって里の中で一番偉くなったら、それらを洗いざらいなくして地球の遊園地みたいな楽しい場所に作り変えようと考えていた。
「…くだらないことを考えているな。このバカ息子が」
「ゲッ、親父かよ」
屋敷から現れたのはふたりの父親であるショウジであった。
彼が今の妖狐一族を引っ張る一番偉い人物であった。
「ここは地球と違って妖怪の世界だ。故に我々人間は謙虚に生きなければならぬ。行き過ぎた地球の進化など妖怪にとって目障りな光よ」
「妖怪は地球の人間みたいに進化しないのかよ」
「そうだ。そして、それを尊重して守るのが妖狐一族の役目だ。お前も『ワカキツネ』ならそのことを自覚して生きなさい」
(別に望んでワカキツネになったわけではないつーの)
コンタは心の中で舌を出していた。
ワカキツネとは妖狐一族の次期頭目のことである。
ちなみに現頭目のことを『キツネ』と呼び、ショウジがそれに当てはまる。そして、ワカキツネにその座を譲れば、キツネは妖狐一族のご意見番である『ロウキツネ』になる。
代々、頭目のキツネは一族の長男長女と決まっていた。
だから、コンタにその気がなくても次期頭目としての責務が与えられていた。
コンタはそれが嫌でしようがなかった。
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