2.逃走

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「よし。ギルのおかげで調子が戻ったぞ。感謝する。それじゃあ、脱獄するぞ。とりあえず街の外に出ようか。」  クロエは前足を伸ばして、くーっっと伸びをして、言った。 「まず鍵を開けなくちゃいけないな。どうやって開けるんだ?クロエ」  ギルの牢屋の鍵は3重でとても開けられるとは思えない。  クロエはフフン!と自信のある顔をした。 「私を持ち上げて鍵穴の方へ近ずけてくれ。」 「分かった」  ギルはひょいとクロエをもって、鍵穴の方へ近づけると、クロエはなにか唱えた。 「アブラカタブラ。」  すると肉球が、小さく光った。  その肉球で鍵穴にパンチッッ  ぷにぷにぷにっっ!!  3連続の見事な猫パンチは、叩く度にガチャリと音を立てた。 「おおおお!!!」 「私ににかかればこんな物だな。」  クロエはぴょんとギルの手から降りて、先に進んで行った。  ギルはあとを追う。 (じゃあな道具屋のおじさん!3年後会おうな!)  地下から上がるとお城の中庭に出た。 「見張りが寝てて良かったなクロエ。」 「何を言う。来る時に私が寝かしつけてやったんだぞ」 サラリと言うこの猫。  ちょっと狂気を感じる。 「さて、お城の中に入って、食堂の裏口から出よう。」 「さすがクロエ様。逃げ道も確保済みか。」 「フフン♪」  なんか足取りがめっちゃ軽くなってる。四足歩行でスキップしてるのかなあ。かわいい。意外と単純なんだなあ。 「ちなみにテレパシー中は、思った事も分かるから、言葉に気をつけるんだな。」 クロエがジロっ!!とこちらを睨んで来た。 「うわ!!きも!!いや、嘘に決まってるじゃないか。全部嘘です。」 クロエはフンと顔を戻すと、 「可愛いも取り消すんだぞ。」 と言って先を歩いていった。  可愛いって思われるの苦手なタイプなのかなあ?猫なのに。  俺たちは食堂から抜けて、街に忍び込んだ。 「見張りがウロウロしてるなあー見つかったら速攻牢屋行きだ...」 「お主が俺は勇者だーって叫ぶからだぞばかもの。」 「あれは俺じゃない。操られていたんだ。」 「後からだったらなんとでも言えるな。」 クロエはやれやれと首を振った。しょうがないじゃん、記憶ないし。あれは俺じゃない。そうに違いない。 「んで、クロエ様よ。この街からはどうやって出るんだ?」 クロエはニヤリと笑った 「それはだな??」 ゴクリ。ギルは唾を飲む 「まだ考えてない。」 「えええ!ここまで来たって言うのに1番難関のここは考えてないのかよ。」 「うむ」 クロエはしっかりと首を縦に振った。まじかよ。 「どうすんだー、周りは高い城壁で登れないし、かといって開いてる入口から出ようとするなら、守衛の兵士に捕まって終わりだ。」 「うむ。」 「クロエさんなんかいい魔法無いのかよー」 「あっ!」  クロエは手をぽんと叩いた。 「面白い脱出方法がある!!」  クロエはとても悪い顔をした。
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