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「よし。ギルのおかげで調子が戻ったぞ。感謝する。それじゃあ、脱獄するぞ。とりあえず街の外に出ようか。」
クロエは前足を伸ばして、くーっっと伸びをして、言った。
「まず鍵を開けなくちゃいけないな。どうやって開けるんだ?クロエ」
ギルの牢屋の鍵は3重でとても開けられるとは思えない。
クロエはフフン!と自信のある顔をした。
「私を持ち上げて鍵穴の方へ近ずけてくれ。」
「分かった」
ギルはひょいとクロエをもって、鍵穴の方へ近づけると、クロエはなにか唱えた。
「アブラカタブラ。」
すると肉球が、小さく光った。
その肉球で鍵穴にパンチッッ
ぷにぷにぷにっっ!!
3連続の見事な猫パンチは、叩く度にガチャリと音を立てた。
「おおおお!!!」
「私ににかかればこんな物だな。」
クロエはぴょんとギルの手から降りて、先に進んで行った。
ギルはあとを追う。
(じゃあな道具屋のおじさん!3年後会おうな!)
地下から上がるとお城の中庭に出た。
「見張りが寝てて良かったなクロエ。」
「何を言う。来る時に私が寝かしつけてやったんだぞ」
サラリと言うこの猫。
ちょっと狂気を感じる。
「さて、お城の中に入って、食堂の裏口から出よう。」
「さすがクロエ様。逃げ道も確保済みか。」
「フフン♪」
なんか足取りがめっちゃ軽くなってる。四足歩行でスキップしてるのかなあ。かわいい。意外と単純なんだなあ。
「ちなみにテレパシー中は、思った事も分かるから、言葉に気をつけるんだな。」
クロエがジロっ!!とこちらを睨んで来た。
「うわ!!きも!!いや、嘘に決まってるじゃないか。全部嘘です。」
クロエはフンと顔を戻すと、
「可愛いも取り消すんだぞ。」
と言って先を歩いていった。
可愛いって思われるの苦手なタイプなのかなあ?猫なのに。
俺たちは食堂から抜けて、街に忍び込んだ。
「見張りがウロウロしてるなあー見つかったら速攻牢屋行きだ...」
「お主が俺は勇者だーって叫ぶからだぞばかもの。」
「あれは俺じゃない。操られていたんだ。」
「後からだったらなんとでも言えるな。」
クロエはやれやれと首を振った。しょうがないじゃん、記憶ないし。あれは俺じゃない。そうに違いない。
「んで、クロエ様よ。この街からはどうやって出るんだ?」
クロエはニヤリと笑った
「それはだな??」
ゴクリ。ギルは唾を飲む
「まだ考えてない。」
「えええ!ここまで来たって言うのに1番難関のここは考えてないのかよ。」
「うむ」
クロエはしっかりと首を縦に振った。まじかよ。
「どうすんだー、周りは高い城壁で登れないし、かといって開いてる入口から出ようとするなら、守衛の兵士に捕まって終わりだ。」
「うむ。」
「クロエさんなんかいい魔法無いのかよー」
「あっ!」
クロエは手をぽんと叩いた。
「面白い脱出方法がある!!」
クロエはとても悪い顔をした。
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