55人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は走る体制に入る。
1回目よりも真剣だ。
「ダッシュ!!!!」
「おお!!なんかできてる気がするぞ!!頑張れ!!勇者!!!」
「うおおおおおおお、3、2、1、」
「どおおおん!!!!」
そう言うと俺は、
かけっこの前のポーズから
ずるりと激しくズッコケた
ズザー!!!!
「ブフーッッ」
「おい!!人の失敗を笑うな!!!!そこの猫!!」
「だって、子供の遊びみたいで、ププッ」
「うるさいな!!てかできないって分かっててやらせただろ!!この悪魔!!魔獣!!!」
「いいや、やるまで分からなかったぞ。」
「え、、、」
「1パーセントはな。」
「99%無理って分かってたんなら早く言えよ!!!このやろぉ!!!」
くそお、付き合ってらんねぇよ。こいつ。
まだ笑いころげてやがる。
「ギル、どこへ行くのだ。」
歩いていく俺に、クロエは声をかけた。
「ちょっとトイレだよ。」
俺は木や草が生えてる茂みに入っていった
ーーー
「フー、スッキリした。さて、戻るか」
「お前だな。元勇者のギルというのは」
クロエでは無い声が耳元でした。
俺は反射的に距離をとった。
こいつ俺の背後にいつの間に。
気づかなかったぞ……
ん、どっかで見た事がある人だな。くノ一姿の女の子だ。
「あ!!速さの勇者の!えと、確か、名前は、、聞いてない気がする!!!」
「そうだ、私は速さの勇者と呼ばれし者。貴様を捕らえに来た。」
「なんであなたが俺を捕まえる必要があるんだよ!!」
するとくノ一姿の女の子はニヤリと笑った。
「街の中ではあなたに5万ゴールドの懸賞金がかけられている。そう、5万だ。」
「ええええ!!!!俺お尋ね者!?!?」
「そうだ。危険な薬を服用し、なお何十人もの女性のスカートをめくりまくった不届き者らしいな!!!このへんたい!!!!」
「その説はごめんなさあああああい!!」
終わった……街にはもう戻れない……
「でも弱そうな貴方がそんなことをするとは……見かけで判断はつかないな。
まあ、嘘でも本当でも、私はお金が貰えればいい。あなたを捕まえて牢屋に入れる事だけ考えよう。大人しく着いてきてくれるか?」
くノ一は、投げる用の刃物を構えた。クナイだ
ゴクリ。
俺は咄嗟に木の影に飛び込んで、クロエの方に走った。
カカカッ!とクナイが木に刺さる音が聞こえる。怖い怖い。
「クロエ!!敵だ!」
「むっ」
肉球で顔を洗っていたクロエが俺の声に気づき、肩に飛び乗りフードへ潜り込んだ。
場所は大きな道だった。サイドは茂みだ。
「見つけたぞ、元勇者ギル。大人しく捕まれ!!」
「いやだ!!!俺は魔王を倒すんだ!3年も牢屋に居られない!!」
「ふむ、こやつは、勇者3人の……」
クロエはそう言うと、フードからばっと飛び出てた。
そしてくるりと反対に走っていった。
「え!!!クロエ!!!見捨てないでよ!!俺武器も持ってないんだけど!!あなたがいないと魔法も使えないんだけど!!」
「くく……ペットにも見捨てられたのか。ギル。」
「くそっっ。でも捕まる訳には行かない!」
「では足にクナイをさして引きずって行くか。大丈夫だ、城に着いたら回復ドリンクは奢ってやろう。」
くノ一は、クナイ2本構えた。
くそっっ、ここまでか……
「覚悟!!!」
びゅん!
最初のコメントを投稿しよう!