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スポーン
くノ一が勢いよく振り上げたクナイは、森の中へ飛んでった。
「…………」「…………」
俺は今女の子をおんぶしてるだけの状態。なにこれ、バトルなの??
「うぅ……」
女の子が俺のフードに顔を埋めた。泣いてるのか?
「おいおいどーした。さっきの威勢は。」
「だって攻撃当たんない。1回も当たったこと無いんだ私、練習台ですら。グスッ」
「おーおーよしよし」
俺は背中を揺らした。なんか小さい妹をあやしてる見たいだ。
なんなんだこの子は。
すると、茂みからガサガサと音がする。なんだ、イノシシか??
「あ、やばい。」
くノ一はそう言うと、俺の背中からクロエと同じ方向に
ピューと逃げていった。速い。
なんだ、なんだ
バサバサと鳥が逃げていく音がこだまし、
恐怖がつのる
そしてそいつが正体を表した
ぐおおおおおおあああああああああ!!!!!!
「や、やべえええええ!!!!」
この世にも恐ろしい、
おでこにクナイが刺さった怒り狂う大熊だった。
ーーー
「うおおおおおおおお!!!」
ダダダダと、
俺も同じ方向へ走る。必死で逃げる。
「なんでクマなんか出てくんだよ!!あの女あああああ!!!」
少し逃げた先に、倒れてる人がいた。
よく見たら、さっきのくノ一じゃん。
地面に突っ伏して倒れてる。
え?今後ろから熊来てるんだけど……え?
「何やってるんだよぉぉぉぉ!!」
「ぐおおおおおおおお!!!!!」
俺はくノ一の首根っこを掴んで逃げた。
こいつ速いんじゃないのかよ!!
どうにか背中に乗ってもらった。
「私、、短距離走は里1番だけど、、長距離は1番ビリなんれす……」
「都合悪すぎでしょ!!!!もおおおお」
ぐおおおおおおおおお!!!
くノ一をおんぶしてるせいでクマが近くなってきた。やばいやばいやばい!!!!
だが、先の方のよく見るとクロエが座ってた。
「ク、クロエ先生ぇぇぇぇ!!!」
クロエは俺の肩に乗った。
「やはりこんな形になってしまったか。」
「ええ!!分かってたの??はあはあ、」
クロエは頷いた。
「この勇者はすごく早いが、勇者ギルと反対で、運が悪い。攻撃が当たらないのもそのためじゃないのか?
当たらないならまだしも、クマを呼び寄せるとは、大したものだな!!ははは」
「感心してる場合じゃねえ!!!どうにかしてぇぇぇぇ」
ぐおおおおおお!!!!!
クロエは考えた。
準備時間のかかるダッシュは使えない。
「では"インパクト"はどうだろう。傷は付けれないが、対象は吹き飛ぶぞ。」
「そ、それだ。クロエさんできるの??」
「私の魔法は弱体化してる。吹き飛ばなかったら皆死にだ。お主がやれ。ギル。」
「また俺か、!くそお、、しょうがねえ、この子もいるし、やるしか、、、」
くノ一は気を失ってる。限界まで走ったのだろうか。
もうそろそろ体力の限界だ。女の子と猫を背負って走ってるんだからね!!俺!!
「インパクトはどうやればできるんだ!」
クロエは俺の首に触れて言った。
「手のひらに波紋のような衝撃をイメージしろ、そしてインパクトと唱えて、的に衝撃押し込むのだ。」
「分かった!!」
「バリアも張っておくぞ。」
「ありがとう!!」
身体中が青く光った。
前のバリアは気絶してて覚えてないけど、
なんか盾みたいにバリア出るのかと思ったら、こんな服みたいにギリギリにバリア出るのかよ、大丈夫なのか、、、(ハアハア)
波の形の衝撃波……こうかな、
手のひらに水の波紋のような形が浮いて来た。
「その調子だぞ。勇者ギル!もっと荒い波にしろ」
よし、こうか?波紋のクネクネ一気に大きくなった。
これなら行ける!!!!
「ギル、それ大きすぎないか?」
クロエがギョッとしたが気づかなかった。
「うおおおおおお!!!!」
ぐぉおおおおおおおお
クマが右手を振り下ろしてきた。こわい!!!
左腕に当たったがバリアがガキンと弾いた。ちょっと痛いけど、大丈夫だ!
「ありがとうクロエ!!!うおおおおおお!!!」
そのまま俺はくまの腹に入りこむ。
「い、いんぱくとおおおおお!!!!」
俺の右手が熊に触れると、ブオンと音がした。
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