プロローグ 囚われた勇者

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「うむ。」 王は頷いた。 「次に、くノ一の君だ。名前は教えてくれなかったが、忍者の里で1番早い足を持つと聞いた。君は速さの勇者だ。隙に入ってしまえば魔王でも一撃でたおせられるかもしれない。」 「はい!きっと私が魔王の急所を滅多刺しにします!」 急所を滅多刺し……何それちょっと怖い。 俺はちょっと股間が心配になった。 小柄な女の子なのにそんな怖い事言わないでよ…… 「次に君だ。勇者ギル。」 「は、はい!」 俺は王様になんて言われるか気になっていた。 俺は足が早いわけでもなく、力が強い訳でもない。ただの村人なんだ。 特別には勇者になれる素質なんて特に無かったから、なんで勇者に選ばれたのか分からなかった。 俺はなんの勇者なんだろう。 「君はだな。」 ゴクリ…… 「幸運の勇者だ。」 「へ?」 王は続けた。 「だって運も実力の内っていうからな。『あー滑って転んでうっかり魔王倒しちゃったー!』とか。あるかもだし。」 「国の中から数万人に1人だけをランダムで選んだら君が当たったんだよ。君は運が良い。」 「ええええええ!!そんだけええ!?」 「まあ大丈夫でしょ。君運いいし。」 王は髭を撫でながら言った。 もっとなんか強い意味があると思ってたなあ、 勇者の子孫だったからとかじゃないのかよ。 運がいいから魔王倒してこいとか、心もとないなあぁ...... 「では3人の勇者よ!!健闘を祈っておるぞ!必ず魔王をうち取ってみせるのだ!!」 「「おおおーー!!」」 他の2人だけめっちゃノリノリじゃん。 相当腕に自信あるんだろうな。 俺だって.....俺だって運がいいだけらしいけど、頑張って魔王討伐目指すぞ!! きっと、スライムから徐々に倒していけば、すごい強くなっていくに違いないさっ!! 胸がドキドキ。ワクワク。震えるようだった。 きっと俺が魔王を倒してみせるんだ!!! 「おおおーーー!!!」 俺もそう叫んでいたはずだった。 気がつくと、 黒と白のシマシマの服を着ていた なぜ俺は牢屋にいるんだ……
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