55人が本棚に入れています
本棚に追加
「うむ。」
王は頷いた。
「次に、くノ一の君だ。名前は教えてくれなかったが、忍者の里で1番早い足を持つと聞いた。君は速さの勇者だ。隙に入ってしまえば魔王でも一撃でたおせられるかもしれない。」
「はい!きっと私が魔王の急所を滅多刺しにします!」
急所を滅多刺し……何それちょっと怖い。
俺はちょっと股間が心配になった。
小柄な女の子なのにそんな怖い事言わないでよ……
「次に君だ。勇者ギル。」
「は、はい!」
俺は王様になんて言われるか気になっていた。
俺は足が早いわけでもなく、力が強い訳でもない。ただの村人なんだ。
特別には勇者になれる素質なんて特に無かったから、なんで勇者に選ばれたのか分からなかった。
俺はなんの勇者なんだろう。
「君はだな。」
ゴクリ……
「幸運の勇者だ。」
「へ?」
王は続けた。
「だって運も実力の内っていうからな。『あー滑って転んでうっかり魔王倒しちゃったー!』とか。あるかもだし。」
「国の中から数万人に1人だけをランダムで選んだら君が当たったんだよ。君は運が良い。」
「ええええええ!!そんだけええ!?」
「まあ大丈夫でしょ。君運いいし。」
王は髭を撫でながら言った。
もっとなんか強い意味があると思ってたなあ、
勇者の子孫だったからとかじゃないのかよ。
運がいいから魔王倒してこいとか、心もとないなあぁ......
「では3人の勇者よ!!健闘を祈っておるぞ!必ず魔王をうち取ってみせるのだ!!」
「「おおおーー!!」」
他の2人だけめっちゃノリノリじゃん。
相当腕に自信あるんだろうな。
俺だって.....俺だって運がいいだけらしいけど、頑張って魔王討伐目指すぞ!!
きっと、スライムから徐々に倒していけば、すごい強くなっていくに違いないさっ!!
胸がドキドキ。ワクワク。震えるようだった。
きっと俺が魔王を倒してみせるんだ!!!
「おおおーーー!!!」
俺もそう叫んでいたはずだった。
気がつくと、
黒と白のシマシマの服を着ていた
なぜ俺は牢屋にいるんだ……
最初のコメントを投稿しよう!