プロローグ 囚われた勇者

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なんだろう。頭が痛い。ズキズキするようだ。 確か王様の話を聞いたあと、 城を出て、装備を揃えたんだ。武器と鎧を買ってウハウハだった。 そんでもってどっかに行ったはずだ。 あれ、、どこに行ったんだっけ…… 目を開けると暗くてジメジメしたところにいた。寝ているから天井が見える。なんか汚い。てか、え!!どこここ! 「う、イテテテテ……」 「よう、起きたか。」 あれ、どこかで聞いた事のある声だった... どこでだったかな…… あ!! 「道具屋のおじさんか!!」 思い出したぞ!確か装備を買った後に、道具屋に寄ったんだ。その時接客してくれたおじさんの声だ!! 「おじさん!ここは一体......」 俺がムクリと起き上がると、 そこには鉄格子と、微かに灯る松明があった。 え、???? 「え!!!!ここ牢屋!?!?」 「え、ちょっと待って、理解が追いつかないんですが、なんで俺旅立ち初日で捕まっちゃってんの!!なんで!!」 俺は頭を抱えて混乱した。 「覚えてないのか坊主……」 道具屋のおじさんは言った。どっから声がするんだろう。 あれ、もしかして、  あ、お隣からだ。 「なんでおじさんまで捕まっちゃってるの!!!?」 「ウルセーー!!お前のせいだっての!!」 おじさんは、うがーと喋り返した。 「俺が何したって言うんだよぉ!!勇者は悪い事しないぞ!一般常識だ!」 おじさんは黙った。 え、なんで黙ってるの? 「もしかして俺犯罪しちゃった?」 隣の牢屋でおじさんがケッ!って拗ねた 「自分で思い出しな。」 「うう、ええーっと、確か僕は道具屋にみなぎーるドリンクを買いに行ったんだったな。」 みなぎーるドリンクはテンションが上がる飲み物だ。気合いを入れる時僕はいつも飲む。 聞いた事あるでしょ。みなぎードリンク。若者の間で流行ってるあれだ。 頭痛いけど頑張って思い出す。 「そこで、表に無いから倉庫にあるかもな、悪いが探して見てくれっておじさんに言われたんだっけ。」 「そうだ。」 「そんで倉庫にも確か無かったんだ、みなぎーるドリンク。でも、やっぱ諦めきれなくて、探してたら倉庫の奥の奥、箱の下にみなぎーるドリンク見つけたんだ。」 「…………」  おじさんは黙っている。 「うーん、そんでー、おじさんにお金払って、我慢できなくて店の前で飲んだんだ。」 「ああそうさ。」  俺はそのあとからの記憶はどうしても思い出せなかった。 「くそお、思い出せない……」  俺は頭を抱えた。するとおじさんはため息をついて言った。 「まったくばかものめ。俺が説明してやろう。」 「お願いします。」 「まず最初にだがな。実は俺は、危ないお薬を飲んでいてな。 飲むと気持ちよくなる薬"ラリルレロ"って薬だ。液状のな。あ、勘違いするなよ、別に身体に害はないが、依存性が高くて王が禁止してるんだよ。」 「俺は誰かにバレると捕まってしまうから、当然ラリルレロを隠していたんだ。バレないところにな。それに、【危ない薬】って名前の容器に入れる事なんてできねえから、別の容器に入れていたんだよ。」 僕の血の気が引いた 「え、まさか。そんなわけぇー……」 「そのまさかだ。ばかもの。隠してたラリルレロをお前は俺の前でボトル1本分飲んだんだよ。しかもあの薬は適量ほんの少しでいいんだ。それなのに全部飲み干しやがって、くそう。もったいねえ。」 おじさんが泣きながら悔しがる声が聞こえた。 「て事は、薬物の大量摂取で俺はぶっ倒れて、薬物使用者として捕まってるのか??」 「いいや、もっとある。」 「え?」 「あの薬はな、気分が気持ちよくなる代わりに理性が飛ぶ。人間の欲が強くなるんだ。 人を殺したい願望があるやつがいっぱいラリルレロを飲むと、夢見心地でボケーッと人を殺してしまうだろうな。」 俺はゾッとした。 「じゃ、じゃあ、俺は、人を殺してしまったのか?」 「いいや。」 俺はほっとした。人殺しでなければもう大丈夫ってくらい心配だった。 「じゃああれか、おじさんの店のもん全部食ったとか?」 「いや、違う。」 「じゃあなんだ。聞かせてくれ、」 おじさんは黙った。しばらく沈黙だった。 一体俺は何をしたっていうんだ?? 「後悔しないな?言うぞ?」 おじさんは思い出すように話し始めた。
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