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「声が大きい!!!」
「アウチっ!!!」
いきなり肉球でビンタされた。なにこれ、
なんだこれ、こわい。夢なのか??
「勇者と先程は言ったが、勇者というよりお前は変態だな。全く。変態と呼ばせてもらおう。」
「う、うるせーよ!!俺は立派な勇者だ!あれは薬のせいで呪われていたも同然だ!!操られていたんだよ!断じて変態なんかでは無い!!」
猫はふーんと信じてない顔をした。ほんとだかんな!そんな顔すんな!ムカつく顔だな!おこるぞ!
というか猫に説教されるってショックなんだが……
猫は言う。
「お前のこと、私は最初から見ていたぞ。王様に会った時から、今捕まって"泣いてる"時まで。な?」
俺は顔が赤くなった。
涙のあとをグイグイ隠すように拭いた。
「な、泣いてなんかない!!!ていうかお前、王の時どこにいたって言うんだよ。」
「居たであろう。王の膝の上にいた。」
あーー!いたわ!!なんか話しながら黒猫なでなでしてるから、どっかの悪の組織見たいだなあって思ってたよ!!
「王が勇者を決めると言ってたんでな、どんな奴が来るのか見たくてな。そしたらお前に目が止まった。」
「俺か?運がいい所がか?」
「いや。お前は運がいいのも事実だ。だが……」
猫はビシッと肉球を俺に向けた。
「実はお前は他人より沢山魔力を持っている!!」
「俺がか!?」
「うむ」
猫は頷いた。
「そんなん聞いたことも実感したことも無いぞ。ていうか魔法って実在するのか?」
魔法という存在は聞いたことがあった。モンスターが使う不思議な力だそうだ。
「人間は魔法を使わないから分からないだけだ。基本人間は魔法使えないし。
私はな、もともと魔王の次に強い魔物だったのだ。」
猫は二本足で立ち、胸を張った。器用だな、おい。
「てかお前魔物だったのかよ!!」
「それはそうだ。テレパシーで喋る猫なんていないぞ。夢を見るのではない。」
猫は続けた。
「それがある時、魔王と意見が食い違ってな。私はボコボコにされて、魔王に呪いをかけられ、魔王城から追い出されたのだよ。」
猫はプンプンしてる。相当悔しかったに違いない。そんくらいプンプンしている。
「呪いのせいで私はこの姿だし、魔法威力が弱くなったり、相手に触れないと使えなくなってしまったし、
魔力を誰かから貰わないと死んでしまうくらい弱体化してしまったんだ。」
「その呪いを解くために私も魔王を倒したいのだ。私は今は弱いが、簡単な魔法なら使える。協力しないか?勇者よ。」
猫はじっとこちらを見た。真剣なシーンだけど可愛いなあ。
確かに可哀想だ。呪いをかけられ弱って死にそうな猫を見ると助けたくなるのが勇者ってもんだろう。
「分かった猫さんよ。協力して欲しいって事だな!俺でよければ手伝うぜ!!」
俺はガッツポーズをした。
「さすがは勇者だ!!恩に着るぞ!!」
猫はぴょんぴょん喜んだ。
「まあ3年後だがな!!!」
俺はドヤ顔をした。泣きそう。
「別にそんなに待たなくてもいいであろう。」
猫は鉄格子を指さしてニヤリと笑った。
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