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「ここでいいのか?」
人気のない大通りにクロエと一緒に来た。
遠くには、開いた門が見える。
「ああ。ここでいい。」
そういうとクロエは俺の頭のフードの中に潜り込んだ。
そしてギルの首にぷにりと掴まった。
ヤダ、肉球が俺の首に....
「ぼさっとしてるな。ギル。見つかる前にやるぞ。」
クロエに頭をベチリと叩かれた。
「お、おう。んで、何すればいいんだ?」
「まずダッシュと唱えろ。そのあとしゃがんで走る体制になるのだ」
「分かった。」
「ダッシュ...」
クロエの触れている首の方がピリリと傷んだ。そう感じたと思ったら、
ドン!!
という衝撃が足に走る。
「お、俺の足が光ってる...」
足が眩しい光を放っていた。
「そう!そうだ!やはり人間でもできるのだな!」
耳元でクロエははしゃいだ。
俺は溢れ出る力にドキドキした。
足がビリビリする。
「って、これ明るすぎない!?!?うわ!遠くから警備兵が走ってきてるよ!!」
「早く体制を整えろ。」
手を地面について右足だけ後ろに伸ばす。ってこうか?かけっこの前見たいだ。
「そうだ、そんな感じだ。そしたら足に力を溜めろ。いっぱいだ。」
「私がカウントダウンするから、3、2、1、ドンで、門に向かって走り出せ。分かったな?」
「よおし」
ググググッッッ
足に力を入れると光は強くなった
「3......」
「待てえ!!光るバケモノめ!!確保する!!」
やべ!警備兵がすぐそこにきてる
「2......」
ググググッッッ......クロエの声が俺を集中させた。
足からバチバチと音がする。
「1......」
「おら!観念しろ!!」警備兵が警棒を振り下ろしてきた。
やばい、殴られる。
くっそ!どうにでもなれ!!!
ドォォォォン!!!!!!
地面を蹴った音が大きすぎてクロエの声が掻き消えた。
俺の意識も消えた。
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