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「くそっ!!」
僕は、布団を蹴り飛ばし、立ち上がり、 押入れの扉を開いた。
そこにはサッカーボールとシューズが、昔奮発した小説を書く用の機械が、書きかけの小説の原稿が、他にもほんとうにたくさん夢の跡が転がっていた。
「くそっ!! くそっ!!」
僕は泣きながら書きかけの原稿を掴み、机に座り、続きを書き始めた。
「くそっ!! くそっ!!」
明日、会社が終わったら、久ぶりにグランドに行こう。
「くそっ!!」
僕は本当にあの手紙が恨めしい。
せっかく諦めていた夢を、あの思いを、無理やり掘り出されたのだから。
あの手紙の送り主は、僕がこうなることなんて予想もしていなかっただろう、諦めた夢を今一度突きつけるという残酷な行為をしているなんて考えもつかなかっただろう。
だけど自分の夢を、見て見ぬふりをすることはもうできなかった。
僕は泣きながら夢に向かって歩き出した。
だけど、何故だろう、みっともなく泣きながらも、悔しがりながらも
僕は、今最高に気分が良いのだ。
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