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発想の転換
「それにWebに短編小説なんかも投稿されているみたいで、ご趣味が多彩なんですね、もしかしてペンネームは有島武郎だったりして?」
(有島武郎と言うのは昔の著名な小説家の名前である)
「そうか・・ワシの小説読んでくれたんか⁉ そりゃ有難いけど・・それやったらなんで『先日は失礼いたしました・・』なんて言うたん?」
「そんなに勘繰ってばっかりじゃ・・時間が勿体ないですよ!」
「時間?・・やっぱり課金してるんや⁉」
(有島、お前金の事ばっかり気にしとる、難儀なやっちゃな⁉)
「ホント、有島さんて疑い深い方なんですね、今日は無料ですって!心配なさらないで・・あっ、でもあと5分しか残っていないわ⁉」
「あんたが言う無料の時間と言うのはいったい何分間やったんや?」
(この辺りから相手のペースに巻き込まれ始めた。ホント男って幾つになっても助平な動物なんですよね)
「今日はワンセットの10分です・・次回はハーフタイムで5分を予定しておりますけど・・」
「次もあるんや⁉ あんたの名前は梅宮愛さんで良かったんよな⁉」
「そうです・・皆はアイって呼んでくれてます」
「皆って言うことは・・ん、アイさんはホンマ・・何の仕事してんのん? まさかこれが仕事? こないしてオンライン出演することが仕事やったりして?」
「やっぱり有島さんって勘が鋭い人なんですね・・凄い!」
「凄い? ワシには何が凄いのかよう分からんな! そらそうとなんで女の人って、なんか言うたら『凄い!』って言うんやろ?・・こんな話、どうでもエエけど、なんでオンラインなんや? これやったらまるでオンラインキャバクラみたいやん!」
「それです! ほんと有島さんの勘って凄いですね!・・ 正直にお話しましょう。実はいま、コロナ禍でお店にはお客様が来てくれないんです。と言っても、出張サービスなんて・・マッサージじゃないんですからね。お酒は出せないにしても、お話のお相手なら誰にも負けない自信があるの! そう、次の機会では疑惑なしでお話しましょうよ・・きっと最高に楽しませてあげる!それでは・・今夜は本当に有難うございました」
「えっ、もう終わりかいな?」
云うだけ言ったアイさんの映像は真っ暗になってしまい・・やがてスポーツジムのコマーシャルが映し出された。ブラウザまでが私の個人情報を学習してしまってるみたいである。
次は『5分間まで無料』と聞いたが、更にその次の有料の場合なら幾らの料金なんだろう・・料金次第ではオンラインでも結構なコミュニティー手段として楽しめるのかも知れない?
(本当は、アイさんのこと気に入ってしまったんじゃないの?)
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