連日休暇中

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連日休暇中

 夜10時を過ぎていた。 「もう寝るわ・・お休み!」 「えっ、もうそんな時間なんや? お休み・・あっそや、上がったらワシの部屋のエアコン暖房つけといて・・」 私もそのうち上がるつもりで安易に頼んだのであるが、これがまづかった。 「ん・・分かった、そんならお休み・・」  いまの今まで私同様、同じテーブルの横でパソコンを開いていた女房がそう言い残して二階に上がってしまった。あと2時間足らずでカレンダーは12月に変わろうとしていた。  私たちは5年前に現役をリタイヤしたその日から連日が休暇中である。それ故、日付が変わったからと言っても気分次第で出かけるスポーツジムを除けば決まった仕事など有る筈もない。したがって慌てて寝床に収まる必要もないのである。  さりとて老いた身体と言う奴は時折私に就寝を促すこともある。テレビの朝ドラを観るための手段として身体が慣らされているのかもしれない。 「今日もコロナ感染者数は多いままやな・・いつまでこんな生活続けなあかんのやろか?」 インターネットのニュースサイトで紹介されていた『今日の感染者数』を見ていた私は、ここ連日の数字には恐怖の連続で、ため息をつくことしか出来なかった。 「さあ、受信メールを確認しといてワシも寝るとするか⁉」 メールのソフトは既に1時間程前には既読していたがその後、他のアプリを使用していたこともあり確認の意味でメールのアイコンをクリックした。  ひと月も以前の事である。シャットダウン直前に念のためにとメールを開いたところ、数時間も前から知人のメールが入っていたようで「・・電話が欲しい」の、そのメッセージに私は電話の是非で悩んだことが有る。 夜も10時を過ぎれば電話することに躊躇するのが普通人だからだろう。 (それで電話したの?・・しなかったの?)  ん、只今、当局が捜査中ですので、ここではその回答は控えさせていただきます!  「・・特に新しいメールはっと・・有りませ・・ん?これは何だ? 誰からやろう?」
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