ずっと友だち、

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ずっと友だち、

『切手のないおくりもの』 「私からあなたへ この歌を届けよう 広い世界にたった一人の 私の好きなあなたへ」 子どもの頃によく歌っていたこの曲が 『切手のないおくりもの』 という名前なのだと最近ネットで調べて 初めて知った。 この曲を送りたい相手が私にはいる。 中1の時とても仲良しだった、 「ともひろくん」にだ。 私たちはお互いに好きな人がいて 恋のキューピットをしあった中だ。 何時間もたわいない電話を何度もした。 私の家庭の事情も聞いてくれて、 「ともひろくん」には何の秘密もなかった。 何でも話せた。 そんなともひろくんがある日、 中国に家族旅行に行ったお土産にと 翡翠色の石で出来たブレスレットをくれた。 「友だちの印」 と言って。 「ともひろくん」の大好きな女の子には黄色い同じブレスレットを渡していた。 私は嬉しかった。 友だちとして、本当に私を認めてくれてるんだなと。 それから学年が変わり、 クラスも離れ あまり喋れなくなったけど、 たまに話しかけてくれていた。 その後、私は転校することになった。 転校してからも 電話はかけてきてくれていた 「ともひろくん」。 私が転校してからの「ともひろくん」は クラスに馴染めなかったのか、 保健室に登校していたと、 別の友だちから聞いた。 「ともひろくん」はサッカー部で 部活にはちゃんと行っていると聞いた。 ある日「ともひろくん」から電話があった。 「高校は受かったからそこに行く」 と。 それ以来、 「ともひろくん」からの電話はなくなった。 携帯のなかった時代。 私から家に電話するのは 親にチャチャ入れられるから イヤがっていた。 電話は「ともひろくん」から。 それがルールだった。 あれから20年以上経つ。 心優しく、繊細な「ともひろくん」が 私は未だに気になっている。 もちろん、友だちの印も部屋に飾ってある。 これからも、ずっと友だちだ。 会えなくても。 どこでどう生きているか分からなくても。 そんな「ともひろくん」にこの歌を届けたい。 「私からあなたへ この歌を届けよう 広い世界にたった一人の 私の好きなあなたへ」 これからも友だちだよ。ともひろくん。
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