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「ど、どうしたんだ?ヨォコ。ここの所、君は・・・」  ヂョンはヨォコの心外であること夥しい反応に唖然とし愕然としたが、彼女の横に置いてある自分の為に用意したクリスマスプレゼントと思われるラッピングされた物が気になっていたので、それを取り上げて開いてみると、ジェニパーベリーを沢山詰め込んだ透明な袋が出て来た。それはヂョンの大好きなジンに香りづけする為の物に違いなかった。  嗚呼、なんてこった。もうジンはないんだとヂョンは嘆いたが、ヨォコの心遣いに深く感謝を込めて言った。「ありがとう。ヨォコ、ジェニパーベリーとは気が利いてるね」  すると、ヨォコは顔を伏せた儘ではあったが、幾分、泣く激しさを弱め、震える声で言った。「私こそありがとうヂョン」  その後、ヨォコがヂョンの愛を信じ、勇気を振り絞って乳癌だったことを明かし、手術を受け、両乳房を失ったことを告げると、ヂョンはそれであんなに元気がなく金もなくなったのかと諒とすると共に酷く落胆したが、ヨォコを安心させようと言った。 「僕は何より君の中身を愛している。だから乳房を失ったってヨォコが好きなんだ!」  その言葉が心の琴線に触れ、余程、有難かったらしくヨォコは泣きじゃくっていたのが嘘のように静まって徐に顔を上げ、涙で赤く腫らした目でヂョンの顔を恐る恐る見ると、信じられないといった表情になって、ほ、ほんとうに?と消え入るような声で訊いた。 「ああ、勿論さ」とヂョンが笑顔で即座に答えると、ヨォコは彼を神様のように思って敬愛の念を込めて見つめ、両手を差し伸べ、抱擁を求めた。  それに応えようとヂョンは颯とテーブルの横を回ってヨォコの目の前に来るや、立ち上がった彼女をひしと抱きしめた。 「嗚呼、可愛そうに。もう心配しないで良いよ」とヂョンが優しく言うと、ヨォコは涙を随喜の涙に変えて彼の胸の中で心置きなく泣き続けるのだった。  そんなヨォコを抱きながらヂョンは思った。嗚呼、なんてこった。ほんとに胸がない。ブラは無用の長物か。けれども僕はヨォコを絶対、裏切らないと。
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