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3願い
悠「……お前が凛を追って死んじまうのかと思ったよ」
俺「俺は凛なんて女の子、知ら…っう」
突然頭の中に映像が過ぎる、それは俺がトラックに跳ねられる前のこと。
俺「……知ってる、でも、凛はもう」
そう、凛はもうこの世にはいない事。
あの約束の日の事を思い出した。
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俺「今向かってる、もう少し待ってくれ」
凛「ごめんね、俺くん…私」
凛「やく…そく…必ず」
俺「何言ってるんだ、凛!」
電話が途切れたその後、あの場所に行ったがそこに凛は居なかった。そして、嫌な予感がして病院に行ったら…
先生「最善の手は尽くしましたが…申し訳ありません」
俺「嘘だろ…凛、凛!」
目の前には信じたくない現実が広がっていて、受け入れる事はできなかった。
俺「これは夢だ、夢であってくれ…」
心からそう思った、しかし握った凛の手の冷たさがこれが現実だと思わせるようだった。
俺「……約束って、言ったじゃねぇかよ」
俺はその場で泣き崩れた、その時、凛が何か大切そうに握りしめている事に気付いた。
俺「これは…手紙?」
広げて見ると、俺に宛てて書いた手紙だった。
俺くんへ
最期なので伝えたい事、全部伝えときます。
私は、俺くんの事が大好きです
これからも、俺くんと馬鹿な話をして笑いたい
これからも、俺くんと季節を過ごしたい
これからも、俺くんと一緒にいたい
病気に負けたくない、俺くんとの約束も守れずに死にたくない
俺くんは寂しがり屋だから私が居ないと困るでしょ?笑
でも、ダメだったみたい
どんどん病気が悪くなってくる一方で、神様にお願いしたんだけど聞いてくれなかったの
まだ生きたい、俺くんに会いたい
寂しいのは私の方……
俺くんがくれた思い出は、死んでも大切にします
俺くんと出会えてよかった
私はとても幸せでした
約束まもれなくてごめんね
もしも願いが叶うなら、もう一度俺くんに……
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手紙には沢山の血と涙が付いていた。
凛の病気に気付いてあげれなかった事に俺は、ひどく後悔をした。
俺「本当は、辛かったはずなのにごめんな凛」
放心状態のまま病院から帰っている途中で俺は……
運転手「危ない!」
キキッー バァン!
運転手「あぁなんて事だ、キメちまった!」
トラックに跳ねられた時、一瞬だけだか誰かがこっちを見て笑っていた気がした。
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