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悠「おい、俺!」
悠の声にフッと意識が我に帰る。
俺「あぁ、わるい」
悠「まぁ、色々あったからな今日はもう帰るわ」
悠はそう言うと、椅子から腰を上げて病室を去ろうとする。
悠「何か、困ってるなら遠慮なく言ってくれよな。トイレ以外なら手伝ってやるからよ」
俺「流石にトイレぐらい行けるわ!」
冗談まじりの言葉を残し悠は帰っていった。
俺は、悠にかなり心配かけさせてたみたいだな。
俺「色々考えすぎて、頭いたい。少し寝るか」
正直なところ、記憶が断片的で過去のことを思い出そうとする度に頭に鈍い頭痛が走る。
俺「大切な人の事を忘れてるってまじかよ俺……」
トラックに跳ねられた衝撃で忘れたのか、俺の本心が忘れたがってたのか、分からないまま眠りについた。
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「俺くん」
真っ暗な意識の中、俺を呼ぶ声が聞こえる。
「俺くん に来て」
何かノイズのような音が重なってよく聞き取れない。なんだ、俺は何処に行けばいいんだ?
「 が教えてくれるから」
この声の人は俺に何かを伝えようとしている。その声は細く何かに怯えてるようだった。
「俺くん、助けて!」
この声の人は助けを求めているようだ、だったら俺が助けるまでだ、この声の人が、夢でも、幻でも、必ず見つけだして救ってやる。
俺「分かった、今から行って必ず助けてやる、だから待ってろ!」
バタン!!
俺「痛い…そして床冷たっ、キンキンに冷えてやがる!」
布団から転げ落ち、目を覚ました。ベッドを掴むと端にあった手すりが壊れている。
俺「どんだけ寝相悪いんだ…俺」
壊れた手すりをベットの横に立て掛けている時、横から差し込む光に目を奪われる。
俺「綺麗な月だなぁ」
それはとても大きくまん丸な月で、広く輝いている様に見えた。
俺「何だ、今何か光ったような…」
月の光に照らされてた指輪が反応し病室の壁にある場所の映像を映し出した。
俺「何だこれ、何処なんだここは」
そう言えば、悠が暇だったら絵でも書けって言って、残してったスケッチブックとペンがあったはず。
俺「あった、あった」
俺はその場所の絵を書いている途中、あの声のことを思い出す。
「俺くん に来て」
「 が教えてくれるから」
俺「もしかして指輪が写したこの場所に行けってことなのか?」
指輪が突如映し出した奇妙な場所、どうやら俺はそこに行かなくてはならない。助けに待ってる人がいるからだ。
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