しげしの道 E.10月のクリスマス

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 4.「 スパイ 」呼ばわりもされました  「 おいK、入口から牛乳とってこい。  中身、全部、こっちのボールへ入れえ!  さすがに、オマエでもできるよの ?」  「 はい、できます 」    腹の中は煮えくり返りながらも、大声で返事、すばやく行動。  驚いた。  スーパーの紙パック牛乳にあらず。  生まれて初めて見る、巨大牛乳ビン。  1本抱きかかえるのがやっと、メチャクチャ重い。  全部で6本運んだだけでヨレヨレになった。  が、グズグズしてるとまた怒鳴られる。  巨大牛乳ビンをシッカと抱き、中身をボールに。  でかすぎて、メチャクチャ入れにくい。  が、一滴でもこぼしたら怒鳴られるのは目に見えてる。  かといって、ゆっくりやっても怒るのだから。  全神経集中、休まずに、6本を次々にボールに入れた。  「 終わりました 」  「 おまえ、うちの会社つぶす気か!」  「 なぜですか、一滴もこぼしてませんよ 」  「 これはなんな、これは!?」  空になったビンの底に大きなアワが。  「 アワぐらい、残ってもいいいんじゃ?」  「 アワぐらいじゃと、おまえ、わざと残したんか!?」  「 別にわざとじゃないですけど 」  「 お前は、スパイじゃろ、うちの会社をつぶしに来たろ!?」  「 アワを残したぐらいで ……」  「 これだけでかい牛乳ビン6本ぶんど。  後で、アワが溶けて底に溜ったんを6本ぶん全部集めてみい。  小さいパック牛乳1個分にならあ 」  絶対なんねえよ! 「 オマエのやり方だと、毎日牛乳1パック捨てることになるんど。  年300日計算なら300パック、10年で3000パックも捨てるんよ。  大損害よ、ただでさえ儲かってないZが傾むかあ!」  上場企業が、1日牛乳1パック捨てたぐらいで傾くのかよ!  「 バカが、こうやるんよ、ちゃんと見とけえ。  これぐらい小学生でも知っとら、日本の常識よ!」  全部入れ終わる前に、少しビンを回転させる。  そうやってアワを液でつぶし、アワが残らないようにするのだ。  確かに、そうした方がわずかだが節約になることは解る。  が、最初から教えればいいだけ。  わざと失敗させて怒鳴りちらす、超ムカツクんですけど。    なぜ?  どうして?  恐怖のZケーキ工場!  ( 5. ぼくが虐待されたのは、なぜ ?  に続く)    
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