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4.「 スパイ 」呼ばわりもされました
「 おいK、入口から牛乳とってこい。
中身、全部、こっちのボールへ入れえ!
さすがに、オマエでもできるよの ?」
「 はい、できます 」
腹の中は煮えくり返りながらも、大声で返事、すばやく行動。
驚いた。
スーパーの紙パック牛乳にあらず。
生まれて初めて見る、巨大牛乳ビン。
1本抱きかかえるのがやっと、メチャクチャ重い。
全部で6本運んだだけでヨレヨレになった。
が、グズグズしてるとまた怒鳴られる。
巨大牛乳ビンをシッカと抱き、中身をボールに。
でかすぎて、メチャクチャ入れにくい。
が、一滴でもこぼしたら怒鳴られるのは目に見えてる。
かといって、ゆっくりやっても怒るのだから。
全神経集中、休まずに、6本を次々にボールに入れた。
「 終わりました 」
「 おまえ、うちの会社つぶす気か!」
「 なぜですか、一滴もこぼしてませんよ 」
「 これはなんな、これは!?」
空になったビンの底に大きなアワが。
「 アワぐらい、残ってもいいいんじゃ?」
「 アワぐらいじゃと、おまえ、わざと残したんか!?」
「 別にわざとじゃないですけど 」
「 お前は、スパイじゃろ、うちの会社をつぶしに来たろ!?」
「 アワを残したぐらいで ……」
「 これだけでかい牛乳ビン6本ぶんど。
後で、アワが溶けて底に溜ったんを6本ぶん全部集めてみい。
小さいパック牛乳1個分にならあ 」
絶対なんねえよ!
「 オマエのやり方だと、毎日牛乳1パック捨てることになるんど。
年300日計算なら300パック、10年で3000パックも捨てるんよ。
大損害よ、ただでさえ儲かってないZが傾むかあ!」
上場企業が、1日牛乳1パック捨てたぐらいで傾くのかよ!
「 バカが、こうやるんよ、ちゃんと見とけえ。
これぐらい小学生でも知っとら、日本の常識よ!」
全部入れ終わる前に、少しビンを回転させる。
そうやってアワを液でつぶし、アワが残らないようにするのだ。
確かに、そうした方がわずかだが節約になることは解る。
が、最初から教えればいいだけ。
わざと失敗させて怒鳴りちらす、超ムカツクんですけど。
なぜ?
どうして?
恐怖のZケーキ工場!
( 5. ぼくが虐待されたのは、なぜ ? に続く)
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