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 狭間が銃を突きつけたと思えば、場面が変わりリサが銃を突きつける。最後には父親が薄ら笑いを浮かべながら悠太に向けて銃口を向けていた。その度に悠太は冷や汗をかきながら目を覚まし、満足な睡眠を取ることなく出勤の時間を迎えていた。 「それでは仕事に行ってきます」  悠太はリサに背を向けたまま家を出た。見知らぬ女を一人自宅に置き、職場に行くことは憚りたかったが、自宅に取られて困るものはない。  そしてリサが仮に家のものを盗んでいなくなったとしても得体のしれない人物が消えることは好都合ではあった。何にしても悠太にデメリットはない。そう思うと急に肩の荷が下りたような感覚を覚えた。  仕事を終えて、家に戻るとリサは寝室で寝息を立てていた。普段はまっさらなテーブルの上に冷めきった朝食が置かれている。ご飯と素焼きのウインナーに卵焼き。そしてご飯の盛られたお椀の横に小さなメモ書きが置いてあった。
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