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南栄町につながる大通りを監視し始めてから、早二週間。その後、清住会を狙う輩はおらず、川島の命を奪った犯人の姿は靄の中に消えていた。狭間はシノギの合間にも偵察を若衆に任せ、厳戒態勢を取っていた。しかし全く成果の上がらない結果に苛立ちも覚えていた。
「もう兄弟の件は忘れろ」
清住の言葉が胸の中で何度も反芻される。その言葉が狭間の胸を抉っていた。自分の川島に対する弔いの念が空振りに終わっていることを叱責されている気分だった。
その日も若衆からの情報がないまま、狭間は南栄町に近年開店した飲食店からみかじめ料を徴収していた。みかじめ料の徴収など若衆にさせておけばいい仕事であるが、川島の情報を得るべく狭間直々に店舗を回っていた。
「川島さんを撃った犯人、まだ捕まってないんですね」
数年前からみかじめ料を収めているキャバクラ「マリーズ」の店長、八坂徹は沈痛な面持ちでカウンターを拭いていた。
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